トレードについて勉強をしていれば、「ダウ理論」という言葉は目にしたことあるでしょう。
テクニカル分析において、この「ダウ理論」というのは非常に大事な考え方になります。
ダウ理論をトレードのベースとして覚えることによって、チャートの見え方や景色がガラリと変わるくらい重要な法則です。
なぜなら、ダウ理論は相場のトレンド動向がいったん始まってから反転が証明されるまで継続されるクセが理解できるからです。
今回はテクニカル分析において最も重要と言っていいであろう「ダウ理論」について、解説していきたいと思います。
目次
ダウ理論の6つの法則
①平均はすべての事象を織り込む
どういう意味かと言うと、テクニカル分析においての相場はファンダメンタルズの影響も含めて、すべてを織り込んでいるということが前提にある、ということです。
こういったファンダメンタルズや自然災害などの外的要因なども全部織り込まれてチャートは値動きする、という思想ですね。
つまり、トレードを行う上で、ファンダメンタルズなどの要素は無視するわけにはいかないので、テクニカル分析を磨くと同時に情報収集や市場の動きにも常にアンテナを張る必要があるんですよ、と説いているわけです。
②主なトレンドは3種類からなっている
ダウ理論では、長期・中期・短期それぞれにトレンドが存在していると提唱しています。
19世紀末のダウ理論発表時は、以下のように考えられていました。
- 1年単位の周期のトレンドを主要トレンド。
- 1~3ヶ月程度のトレンドを二次トレンド。主要トレンドの調整。
- 1~3週間程度のトレンドを三次トレンド。二次トレンドの調整。
この考え方に基づき、たとえばFXなどの短期トレードを行う場合でも応用してみましょう。
- 主要トレンド→日足で把握
- 二次トレンドを1~4時間足で捉える
- 三次トレンドを15分~5分足で見る
このように3つのトレンドを把握しに行くようにします。
どの時間足にもトレンドが存在しており、それぞれに相関関係があるということです。
③主なトレンドには3つの段階がある
ダウ理論では、主要なトレンドを「先行期」「追随期」「利食い期」の3段階で捉えています。
第1段階から第3段階にかけて、市場に参加する投資家の心理と行動がわかりやすく表現されています。
第1段階:先行期
多くのトレーダーが売っているから買いはじめるという底値を捉えようとする先行投資家(いわゆるプロの投資家)が参加してくる段階です。
すなわち、下降トレンドが終了し、底を打ったと判断できる高い判断力が求められるため、普通の投資家ではまだこの段階で買っていくのは難しい段階なんですね。
値が上がってきたからといって買っていくと、まだ単なる下落途中の戻りや値動きのブレである可能性が高い不安定な段階でもあります。
第2段階:追随期
筆者も含めた普通のトレーダーたちが、しっかりと値の切り上げを確認できたことで、ようやくトレンドの転換を認識できるであろうという段階です。
分かりやすくなることで、多くの投資家からの買い注文が入りやすくなり、買いが増えることで相場が大きく伸びやすい段階でもあります。
第3段階:利食い期
上昇の過熱感がピークに達してくる、いわゆるバブルと呼ばれる段階です。
相場をまだ理解していない初心者トレーダーが、今上がっているから買おう!という行動に出てくる傾向が強く見える段階でもあります。
この段階では既に、勝っている投資家はいつ売り抜けようかとそのタイミングを探っています。
そして、その売り抜けがどんどん連鎖して、相場は一気に急落していきます。
その後、「売りが底を打った」と判断した先行投資家たちはどういう行動を取るか想像つきますね。
そうです、買いに走りはじめるわけです。
ということは、お気づきの通り、この相場はまた第1段階と同じ動き方になるんですね。そしてまた同じサイクルを繰り返します。
市場は、この第1段階から第3段階までのサイクルをぐるぐる回っている、というのがダウ理論のひとつの法則です。
④平均は相互に確認される必要がある
例えば、為替相場でいうとNYダウの株価はそのまま日経平均株価にも影響を与えています。
また、ダウ理論が発表された19世紀末では、工業が活性化してくると同時に運輸業も活性化するという相関関係がありました。
そのために、工業株価と運輸株価がセットで上昇しない限り、それを本物のトレンドとはみなさないと考えたわけなんですね。
すなわち、平均は相互に確認される必要があるというのは、そうした相関関係の重要性を指摘しています。
仮想通貨でいえば、ビットコインとアルトコインの相関関係といえます。
ビットコインが下落を見せた場合、多くのケースでアルトコインも同様に下落を見せるという相関性はここまで実際に見せており、そこに目をつけてアルトコインのトレードを展開しているような方もいらっしゃいます。
仮想通貨では、異なる通貨ペア間の相関関係をみるという考え方に繋がるわけなんですね。
⑤トレンドは出来高でも確認される必要がある
ダウ理論では、トレンドは出来高を伴わない限り、本物とは見なさないという考えがあります。
出来高が伴っていないということは、相場が加熱しきっていないといえます。
小さなトレンドでは参加してくる投資家も少ないため、本当にトレンドに乗ったと定義はできない、というわけなんですね。
⑥トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する
最後の6つめですが、こちらがダウ理論の中でももっとも有名で重要な法則です。
ここで言う「明確なシグナル」とは、高値と安値の切り上げ・切り下げを指しているんですね。
左側の図は、安値を切り上げながら高値を更新しているチャートの動きをしていますよね。
これが「安値の切り上げ」の例で、この状態が続いている限りは上昇トレンドであるとみなします。
逆に右側の図のように、高値を切り下げながら安値を更新しているチャートの動きをしています。
これが「高値の切り下げ」の例で、この状態が続いている限りは下降トレンドがセオリーとなります。
これらの高値と安値の切り上げ・切り下げの法則が崩れたときに、トレンドはいったん終了したとみなすわけですね。
以下のチャートで確認してみます。
左側では、しっかりと安値の切り上げで高値が更新されて進んでいるのがわかりますでしょうか。上昇トレンドが形成されていますね。
そして、青く囲っている1番のポイントから赤く囲っている2番に向かって大きく下落していますが、2番の安値はまだ切り上がったところにいますし高値も更新しているので、この下落もまだ「上昇トレンド」である、と言えるわけです。
しかし、赤の2番から青の3番にかけて上昇するものの、3番の高値が更新できませんでした。
ここではじめて上昇トレンドが終了して、転換をはじめると判断することができます。
その後は高値を切り下げながら安値を更新して、下降トレンドに入っているのは見ての通りですね。
ダウ理論まとめ
ダウ理論による6つの法則をおさらいしておきましょう。
- ①平均はすべての事象を織り込む
- ②主なトレンドは3種類からなっている
- ③主なトレンドには3つの段階がある
- ④平均は相互に確認される必要がある
- ⑤トレンドは出来高でも確認される必要がある
- ⑥トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する
今、全体的に下がっている勢いが強いなぁとか、そういう判断で下降トレンドだ…と思いがちです。
ただ、ダウ理論をわかった上でチャートを見ると、「相場は下がっているけれども、まだトレンドは上だな。」ということがよくあるんですよね。逆も然りです。
テクニカル分析を行う上で、ダウ理論を理解するということは投資家の心理や作戦も推測することにつながりますから、今までに気づけなかったポイントにもアンテナを張れるようになるはずです。
一朝一夕でモノにできるほど、簡単な理論ではないですが、ぜひダウ理論を常に頭に入れながらチャートに触れてみてください。
あとはチャートにたくさん触れれば触れるほど、動きの傾向が自分だけのデータベースに蓄積されてパターン化できてくるはずですよ。
筆者もまだまだ勉強中の身ですので、もっともっとうまくトレードできるように精進します。
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